睡眠時間を削っていくとき、多くの人が最後に落ち着く先が6時間です。なんとか動けるだけの長さはあり、現実の生活にも収まり、これで平気だと言い切る人も少なくありません。ただ正直なところ、大人の多くにとって6時間では足りません。そして面白いのは、それでも足りていると信じている人がこれほど多いのはなぜかという点です。
「十分」とは何を指すのか
問われているのは、6時間で生き延びられるかどうかではありません。生き延びることはできます。問題は、体が実際に求めている長さで眠ったときと同じように動け、同じように感じ、同じように回復できているかどうかです。大人の大多数にとって、その長さは7〜9時間です。10代は8〜10時間を必要としますが、どの年代よりも確実に足りていません。
6時間は90分周期がちょうど4回分なので、周期の区切りにきれいに収まります。5時間半より気分よく目覚められることが多いのはそのためです。区切りに当たれば、目覚めの感じ方は変わります。ただ、眠れなかった分の睡眠が生まれるわけではありません。
6時間で平気に思える理由
ここが核心です。管理された研究で1晩6時間に制限すると、二つのことが並行して起こります。注意力の課題で測った成績は日を追って落ち続け、その一方で主観的な眠気は数日で頭打ちになります。それ以上つらくは感じなくなるのに、状態は悪くなり続けるのです。
つまり慢性的な睡眠不足は、「普通」の基準を静かに書き換えてしまいます。十分に眠れている自分と比べているのではなく、今日を昨日と比べているだけで、その昨日も6時間だったわけです。1週間きちんと眠ったあとに多くの人が口にするのは、「休まった」ではなく「ここまでひどい状態だったとは思わなかった」という驚きです。
6時間が実際に奪うもの
- 注意の途切れ。ごく短いマイクロスリープと反応の遅れが起こり、居眠り運転のリスクはここから生まれます。本人には気づけません。だからこそ危険なのです。
- 記憶と学習。記憶の定着は睡眠中に進みます。夜を短く切り上げると、REMの多い最後の周期がいちばん削られます。
- 気分と感情の調整。睡眠が短いと、何もかもが余計に苛立たしく、余計に切迫して感じられ、ちょっとした摩擦への耐性も下がります。
- 食欲と代謝。睡眠が短いと、食欲のシグナルはより多く食べる方向へ、とくに手早く取れる炭水化物へと傾きます。
- たまっていく借金。1晩6時間を週5日続ければ、金曜にはおよそ丸1晩分の睡眠が失われている計算になります。
本当に6時間で平気な人はいるのか
生まれつき睡眠時間が短くて済む遺伝子の変異を持ち、少ない睡眠でも不足なく機能する人はわずかにいます。ただし、これはまれです。自分がそうだと言う人の数よりはるかにまれです。ショートスリーパーを自称する人の圧倒的多数は、単に睡眠不足で、その状態に慣れてしまっただけの人たちです。
必要な睡眠時間には確かに個人差があり、年齢や病気、トレーニング量、ストレスによっても動きます。7〜9時間は集団としての幅であって、一人ひとりへの処方ではありません。
自分の数字を見つける方法
正直に測れる唯一の方法には、アラームなしの1週間ほどが要ります。休暇がちょうどいいでしょう。眠くなったら床に就き、アラームを使わずに目を覚まし、最初の2〜3晩はまるごと除いて考えます。この数日はたまった不足を返している分、長くなるからです。週の終わりごろには、睡眠時間はどこかに落ち着きます。その落ち着いた長さが、あなたの数字です。
もっと手軽な近似もあります。2週間、睡眠時間と一緒に午後3時ごろの頭のはっきり具合を記録してみてください。不足がいちばんはっきり出る時間帯です。午後を乗り切るのにカフェインが要る、あるいはどこかに座ると数分で眠ってしまうなら、足りていません。
6時間しか取れないとき
そういう状況もあります。そして、たまたま悪かった一晩と、悪いままの仕組みとは別の話です。
- 時間を一定に。毎晩同じ時間帯の6時間は、ばらばらな時間に散らばった6時間よりはっきり良い状態です。
- 6時間を丸ごと守る。お酒は飲まない、部屋は涼しく、スマホは手の届かない場所へ。途切れた6時間は、まとまった6時間よりずっと悪くなります。
- 周期の区切りで起きる。6時間が動かせないなら、せめて周期の途中ではなく終わりで目を覚ましましょう。睡眠計算ツールはそのためのものです。
- 仮眠は正しく。20分か、90分周期を丸ごと1回。45〜60分という中途半端な長さは、深い睡眠に入ったところで引き戻されるので、両方の悪いところ取りになります。
- 意識して返す。1晩1時間ずつ数日かけて増やすほうが、週末に一度どっさり寝坊するより効きます。寝だめは主に体内時計をずらすだけです。詳しくは睡眠負債と、取り戻せるのかどうかで扱っています。
実際に何時間眠れたのか、推測をやめる
床にいた時間は睡眠時間ではありません。MathWakeは夜ごとの睡眠を計測し、総睡眠時間を床にいた時間と並べて示し、週ごとの推移を追いかけます。6時間というのが本当に眠れている長さなのかどうかが見えてきます。睡眠トラッカーは無料で、データは端末の中に残ります。
iPhone版MathWakeをダウンロードよくある質問
6時間の睡眠は7時間より良いのですか?
いいえ。6時間は睡眠周期4回分ちょうどで区切りにも当たるため、目覚めがすっきり感じられることはあります。ただ、大人の多くが実際に必要とする範囲に入っているのは7時間のほうです。周期のタイミングは目覚めの感じ方を変えるだけで、足りない睡眠の代わりにはなりません。
睡眠時間を減らす訓練はできますか?
ほとんどできません。訓練できるのは、眠気に耐える感覚のほうです。慢性的に睡眠を削ると、測定される能力は落ち続ける一方で、主観的な眠気は頭打ちになります。そのため、能力が損なわれたままなのに慣れたように感じてしまうのです。
自分に必要な睡眠時間はどうすればわかりますか?
1週間ほどアラームなしで過ごしてみてください。最初の2〜3晩はたまった不足を返している段階なので、除いて考えます。そのあと睡眠時間が落ち着いたところが、あなたの数字です。それが難しければ、カフェインなしで午後3時ごろにどれくらい頭がはっきりしているかを見てください。
6時間眠るのと徹夜するのとでは、どちらがいいですか?
間違いなく6時間です。短くて途切れがちな夜でも、まったく眠らないよりは認知機能がはるかに保たれますし、完全な断眠には短い睡眠にはないリスクがあります。